地動説
2010.04.16
その他
地動説 【ちどうせつ】
地球が自転し、太陽のまわりを回るというコペルニクスの説。
新聞を見ていて知ったのだが、アメリカにはいまだに天動説を支持している人たちの団体があるらしい。この人たちによると地動説なるものは悪魔の謀略であり、ガガーリン以降の地球の写真などもすべて、悪魔に与して権力を握っている側の捏造したものであるという。この人たちは年に一度、大会を開いては天動説のデモンストレーションをするらしく、アメリカ人はそれを見て大笑いするようだ。
「それでも地球は回っている」と言い残して浮かばれない死に方をしたガリレオ・ガリレイに対して、ローマ教会が正式に謝罪をしたのはごく近年らしい。そんな事実を、僕は最近になって知った。
これはさまざまな証拠写真にもとづいて、教会自体がついに地動説を認めたということなのだろうが、そういえば初期の宇宙飛行士、あるいは月着陸のメンバーに対してオフィシャルに行われた質問の中に、「あなたは宇宙空間において”神”を見ましたか?」という一項があったことを我々は覚えている。つまり、我々はいまだにその程度の時代に生きているのである。
ではそれらのアナクロニズムを笑う前に、「あなた、地動説が正しいことを証明してみなさい」と言われたら、我々は、はたととまどうのではないだろうか。実際に宇宙空間に飛んで、丸い地球が太陽のまわりを回っているのをこの目で見たわけではないからだ。
我々のこの確信は、小さな頃から叩き込まれた情報の堆積の上に成り立っている。それを自明の理として、万に一つの疑いもさしはさまないということにおいて、我々は天動説の支配した時代の人々と何ら変わるところはないのだ。